クレストブリッジのレザーライダースジャケット

最近すっかり涼しくなってきました。秋と言えばレザージャケットが活躍する季節です。昨年私はずっと欲しかったレザージャケットを買ってしまいました。クレストブリッジ・ブラックレーベルのシングルのライダースジャケットです。

私のシングルライダースジャケットポケット

筋ジストロフィーは機能最優先

やはり筋ジストロフィーという病気になってから、体に負担をかけないことを中心に考えてきましたので洋服は

  • キツくない
  • 重くない
  • 動きやすい

と言う事を考えて選んでいました。体にぴったりとフィットしたものは筋力がないと着るのも脱ぐのも大変ですし脱ごうとして色々なところが攣ってしまうことがあります。

そして重さは重要です。真冬に着るコートも重くなりがちですから持っているのは全てダウンジャケットです。軽くて暖かいですから言うことなしです。そして春や秋もアウトドアブランドのジャンパーになります。それも会社に行く時も、休日に出かける時もです。特にファッションに興味があるわけでもないのですが、いつも同じような格好をしていることに自分でも「どうなんだろう」と思い始めました。

私は会社でもスーツではなくカジュアルな格好をしています。転んでしまうとスーツですと膝が破れて怪我をしてしまいますし、スーツとしても着れなくなってしまうためです。ですから上はドレスシャツで下は転んでも破れにくいチノパンというスタイルになります。そこに着る上着がいつも同じで、さらに休日外出するときも同じスタイルになってしまうのです。

レザージャケットは以前から欲しいと思っていたのですが、やはり重いというのが一番の理由で諦めていました。しかしある時牛革の本格的なライダースジャケットを見てしまったのです。もちろん本格的なものですから硬くて重くて私は着ることはできません。「羽織って見ますか?」と声をかけられたのですが、正直羽織ったら私の筋力では腕も動かせないと思いましたので遠慮しました。その日からです。寝ても覚めてもレザージャケットのことを考えるようになったのは。

我慢の封印を解く

筋ジストロフィーだから全てにおいて機能最優先という考え方になっていました。ですから本当なら着たい物、欲しい物も自分の中で封印していたのだろうと思います。前にブルーノート東京の記事にも書きましたが、できないことが増えて自力で歩けなくなる日が現実的に近づいて来ると、何とか歩けるうちにやろうとか楽しもうとかっていう気持ちが強くなります。将来自力で歩けなくなった時に後悔したくないと言う思いが強くなり、今まで我慢していたものの封印を解いてしまうのです。「だったら最初から封印せずに楽しめばいいじゃん」と思うのですが、筋ジストロフィーという難病にかかってしまうとそんな気にはなれません。他の難病の方もそうだと思いますが、将来の不安や絶望感などに押しつぶされそうになる毎日ですから、どうしても気持ちがネガティブになってしまいますし、今の状態を少しでも長く維持しようと思いますから無理もしないである意味ストイックになってしまいます。私も筋ジストロフィーと宣告されてからもう15年以上経ちますから出来なくなったことも多いですし、そろそろ先(自力で歩けなくなること)も見えて来たなと感じていますので、後悔しないように残された少ない時間を思い切り楽しもうとしているのかもしれません。

レザージャケット探し

そして肝心のレザージャケットですが、牛革だと重くて硬いので私が着るのは無理ですが、羊革(ラムレザー)なら柔らかくて私でも着れるのではないかという知識を得て探し始めました。価格もいろいろありますし、どのブランドが良いのか皆目見当もつきません。できれば現物を見て決めたいのですが、探し始めたのが1月の終わりでしたから、あまり店にもありませんでした。自分としてはレザーなら何でも良いのではなく、もう若くもないので

  • 軽くて柔らかいラムレザー
  • デザインはシングルのライダース
  • 品質重視で長く着れるもの

という基準で探しました。

そんな中、妻が持っている洋服のブランド、「クレストブリッジ」のブラックレーベルというメンズのラインにないかと探してみたらあったのです。希望通りのシングルのライダースですから、デザインもシンプルですし何にでも合わせることができます。この歳で着てもおかしくはありません。もちろんラムレザーですから柔らかそうですし、長く着れるような品質の物を考えていたので、「これだ!」とすぐに決めました。あとはサイズですがこればかりは試着してみなければわかりません。さっそく週末にショップへ行き試着してみましたがそこにはMサイズしか置いてなくて、着てみても小さくて前が閉まりません。LとLLを他の店舗から取り寄せてくれるということでしたのでお願いしました。

私のシングルライダースジャケット正面
翌週またショップに出向いて試着して、LLサイズを購入しました。Lサイズはピッタリで、シルエット的にも綺麗でよかったのですが、私は筋肉がないので寒さに敏感なのです。当然レザージャケットは秋から初冬にかけて着る機会が多いと思うので、寒さを考えると中にセーターやパーカーなど一枚着込むことを想定して少し余裕のあるLLサイズにしました。

私のシングルライダースジャケット後ろ姿
実際に触ってみると革は厚手ですがとても柔らかく手触りもスムーズです。表面もとても艶があり変な傷もありません。特に表面加工をしていないので、濡らしたりしてシミにならないように注意が必要です。レザーのライダースでは珍しいと思うのですが、中に取り外しのできるライナーが付いています。持った感じはちょっと重いですから少し不安もあります。

レザージャケットデビュー

このレザージャケットは昨年の2月に買ったのですが、さっそく3月半ばににブルーノート東京へ着て行きました。この時はB’zの松本孝弘氏の公演があったのですが、妻がB’zの大ファンでしかも3月がちょうど私たちの結婚30周年ということもあり行って来ました。

その時はレザージャケットの下に薄手のセーターを着てウールのマフラーを巻いて行ったのですが、車でしたから駐車場確保の問題があるのでちょっと早く着いてしまいました。開場まで1時間ほど時間があったので南青山の骨董通りをブラブラしていると、時間の経過とともにだんだん寒くなってきました。「あぁもう無理」ってくらい体が冷えてしまったので、急いでスタバに避難し暖を取りました。私の場合3月だとレザージャケットの下にセーターではまだ厳しいようです。

さて問題の重さですが、いざ着てみると重さはあまり気になりません。あれほど「重いのはどうかな?」って心配してたのに「な〜んだ」って感じです(笑)。革も柔らかくてそんなに動きにくいとも思いませんでしたし、時間の経過とともに革が体温で温まると更に柔らかくなり体に馴染む感じでストレスもありませんでした。こんなことならもっと早くに買えば良かったと少し後悔しました。大袈裟かもしれませんがやはり不安でも前に一歩踏み出すということは大事なことだと思います。その一歩によって新しい発見があったり、新しい景色が見えたりするわけですから。

そして骨董通りを歩いていて思ったのですが、あの辺りのレザージャケット人口の多さに驚きました。すれ違う人の多くがレザージャケットを着ていました。男性も女性も。特に40歳前後と思われる女性がダブルのいかついライダースにお洒落なロングスカートという出で立ちが目を引きました。レザーのダブルのライダースジャケットも何にでも合うんですね。それを見た妻は、ちゃんとしたダブルのライダースジャケットが欲しくなったようです。この日は妻もだいぶ前に買ったシングルのライダースを着ていたのですが、革が全然薄くてジャケットよりもシャツ?って感じなのです。私のを触って「厚くていいな」って言っていたのですが、あの光景を見て完全にダブルのライダースジャケットがマストアイテムになったようです。

ちなみにこの年の12月に上原ひろみさんの公演がブルーノート東京であったのですが、その時はこのライダースの下にユニクロの襟のないウルトラライトダウンを着て行きました。寒さも感じませんでしたので、これからは中にはウルトラライトダウンで決まりです。

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