先日、コミック「BLUE GIANT」の公式イベント「BLUE GIANT NIGHTS」を見にブルーノート東京へ行ってきました。この日ばかりはBLUE NOTE TOKYOがコミックに出てくるSo Blue TOKYOに変わりました。
BLUE GIANT公式ライブイベント
イベントのチケット自体はだいぶ前から発売されていたのですが、途中で上原ひろみの出演が発表されたので「これは参戦しないと」ということでなんとかチケットを取り参戦してきました。
先日ブルーノート東京についての記事を書きましたが、今回もまた左側のボックスシート でした。
いつも通り開場時間に電話を入れ、スタッフの方に迎えに来ていただいてからエレベーターで下りました。今回は直接ブルーノート東京での予約ではなかったので、一度B1FでチェックインしてからB2Fに下りました。
さすがに上原ひろみが出るとなると、いつものように一番後ろに椅子を並べた自由席までビッシリと埋まり、超満員になります。
今回は左側のボックスシートの一番後ろの端で、ちょうどミュージシャンが出てくるところでしたから、出てくる直前の表情を至近距離で見ることができました。そしていつもとピアノの向きも違っていたので、位置的にはちょうど上原ひろみの右斜め後ろから見る感じになり、変態的な右手の動きがバッチリと見えました。
19:30を少し過ぎたところでなんと作者の石塚真一氏のMCでライブは始まりました。
オーディション・ウィナーの高校生トリオ
まず最初に登場したのは、このイベントに向けて行われたオーディションで見事優勝し出場権を勝ち取った高校生トリオの演奏です。オープニングアクトであるにもかかわらず素晴らしい演奏でした。有名なジャズクラブ、しかも観客がすぐ目の前にいる状況であるにもかかわらずとても落ち着いた演奏で、会場も「高校生やるね」って雰囲気になりましたしすごく盛り上がりました。あれだけの演奏をこの場所でできるというのが凄いですよね。”My Favorite Things”を演奏したのですが、3人のソロもなかなか聴きごたえのある演奏でした。こういう場所で一流のミュージシャンたちと3日間一緒にライブができるのですから、彼らにとってはとても自信がついたでしょうし、これから音楽を続けていく物凄く大きなモチベーションになったことと思います。今後が非常に楽しみです。
ケンドリック・スコット・オラクル
次に出てきてのは”完璧なドラマー”と称されるケンドリック・スコット率いるKENDRICK SCOTT ORACLE。ドラム、サックス、ギター、ピアノ、ウッドベースの5人編成ですが、まぁ、始まってみれば流石の演奏です。調べてみると、ケンドリック・スコットは次世代を担う若手実力派ドラマーのようですし、バンドのメンバーも皆同じように期待されている人たちのようです。上原ひろみ以外のジャズバンドの演奏を生で見るのは初めてでしたが、すごく楽しめました。年齢的にも上原ひろみと同年代のようです。
上原ひろみx熊谷和徳
そして最後は上原ひろみx熊谷和徳というピアノxタップダンスというデュオです。二人は昨年12月にツアーを行ったのですが、関東圏は平日だったので残念ながら私は行くとこが出来ませんでした。いつか見てみたいと思っていたのですが、こんなに早く夢がかなうとは思っていませんでした。BLUE GIANTの物語の舞台は仙台から始まります。ジャンルは違いますが、熊谷和徳も仙台出身で単身ニューヨークに渡りタップダンスを学び、今に至っています。2016年にニューヨークのダンスの最高峰BESSIE AWARDで最優秀パフォーマー賞をアジア人タップダンサーとして初めて受賞した日本を代表するタップダンサーなのです。そんな彼がこのライブに出るというのも凄く意味があることのような気がします。
トップアーティストの化学反応
そんな二人のパフォーマンスは何年も前からやっていますので息はピッタリです。熊谷和徳のタップダンスは軽やかなタップから時に重く激しいリズム楽器にもなりますので、上原ひろみの演奏がソロピアノには聞えません。熊谷和徳自身が楽器になっているかのようです。精密機械のように刻むタップ、もはや私の想像のはるか上を行っています。本当に見ることが出来てよかったです。私の席からは足下は見えませんでしたが、もっと近くで見たならば、どんな印象を受けたでしょうか。
1曲目から勝負をかける
さて、上原ひろみの半年ぶりのライブです。今年全く予定を入れていなかった上原ひろみの半年ぶりの公式ライブですが、想像通り1曲目からトップギアです。私は初めて聴く曲だったと思いますが、まるでライブに飢えていたかのような、いきなりのアクセル全開。その証拠に1曲目からうなり声をあげていましたから、初めて上原ひろみの演奏を見た人は驚いたと思います。そして彼女の怒涛の演奏から放出されるエネルギーが見る者を圧倒します。まさに名刺がわりの演奏で、観客の心をギュッと掴んでしまいました。初めて上原ひろみを見た方は唖然としたのではないでしょうか。1曲目から勝負をかける、これこそが上原ひろみなのです。
“主よ人の望みの喜びよ”
そして3曲目にバッハの「主よ人の望みの喜びよ」を入れてきました。聞いたことがある曲で、クラシックというのはすぐわかりました。この曲調はバッハだろうというのもすぐにわかったのですが、クラシックには詳しくないので曲名が出てきません。ま、あとで調べればいいやと演奏に集中です。普通にクラシック調で始まり、だんだんとジャズ調に変化していく演奏。こんな風になるんだ、という発見があって良いですよね。上原ひろみのジャパンツアーでは聴くことのできないクラシックの曲ですからとても貴重な演奏でした。
“Wanderer”
4曲目はアルバム「ALIVE」より”Wanderer”・・・だと思います(違ってたらゴメンナサイ)。この曲を聴くのも暫くぶりでやはり曲名が出てきません。加齢とは恐ろしいものです。ソロ用にアレンジされてますからアルバムに入っているトリオ編成の曲とも違う形になっていました。そして終盤のインプロビゼーションでは、高校生トリオが演奏した”My Favorite Things”を入れてきました。こういうところは流石に上原ひろみって感じがします。
“Dancando No Paraiso”
そしてラストはまさかの “Dancando No Paraiso”です。私の大好きな曲で、おそらく一番好きな曲だと思います。ですがデビューアルバムに収録されている曲ですから、もうライブで聴くことはできないんだろうなと思っていただけに、イントロを聴いた時には鳥肌が立ちました。そこからは一音たりとも聞き逃すまいと集中して聴いていました。
会場の雰囲気は最高潮に
やはり上原ひろみはライブという物をよく知っていると思います。熊谷和徳のタップとのデュオですから、「どの曲ならできるか」となりそうなところですが、彼女には不可能の文字は無いと思われますので、ライブの意図やメンバーなどを見て盛り上がる構成を考えて「この曲をやりたい」になるんだと思います。まさにラストに相応しい軽快なラテンのリズムの”Dancando No Paraiso”。そこに激しいピアノとタップが絡みます。後ろの方からだったので良く見えませんでしたが、上原ひろみの真骨頂、猫パンチ奏法も出ていたように思います。そして原曲でのドラムソロの部分が熊谷和徳のソロのタップになっていて一気にクライマックスへと上り詰め、最後は上原ひろみの叩きつけるようなピアノで終わります。もう、会場は大喝采です。素晴らしいラストの選曲でしたし、二人のパフォーマンスでした。
全員でのアンコール
そして会場の雰囲気が最高潮に達したところで、最後は全員での大セッション大会です。プロに高校生が混じって楽器ごとにソロを弾いたのですが、その時のプロのミュージシャンたちの高校生ミュージシャンを見守るような暖かいまなざしが印象的でした。もちろん最高に盛り上がったのは言うまでもありません。プロのミュージシャンたちの演奏を楽しんだのですが、終わってみればやはり主役はオーディションウィナーの高校生トリオでした。とても素晴らしいライブでしたし、彼らが今後どういう風に成長していくのか見ていきたいと思いました。
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