PTさんと膝カックン対策

筋ジストロフィー患者になると筋力が衰え、立ち上がることが大変になります。同時に日常生活で不意に膝がカックンとなりその場に沈没してしまいます。何ともなければ良いのですが、状況によっては怪我しますし、私のように骨折してしまうこともあります。今回病院受診した際にリハのPTさんと膝カックン対策を練りました。

膝カックンで骨折

昨年の大晦日に家の中で膝カックンしてしまったのですが、運悪く左足を外側に出した時に何かを踏んでしまったようで、膝カックンした時に全体重が足の外側にかかり第3・第4(中指と薬指)中足骨を骨折してしまいました。普段は戸外で膝カックンすることが多く、また家の中で膝カックンする時も正面向いた体勢が多く体重が親指側にかかるので大事には至っていませんでした。

今回骨折して思ったのは、戸外だったら靴を履いているので靴が衝撃を吸収・緩和してくれていたんだなぁと言うことです。靴を履いていなければ衝撃を吸収・緩和してくれるものがないので怪我する確率が物凄く高くなるので、家の中では今まで以上に注意しなければいけません。

今回主治医が見たいと言うので患部のレントゲン写真を撮りました。その写真を見ながら「親指側より小指側のほうが骨が薄いから折れやすい。日常生活で薬指とか使わないから負担がかからないから骨が薄い」と解説してくれました。中足骨でも足首に近い側は脚のアーチもあり体重がかかっているので骨は厚くレントゲンでも真っ白です。しかし骨折してかかった整形外科の先生よりも主治医の神経内科の先生の方が詳しくわかりやすく解説してくれるなんて。

膝カックンはいつも左足

前から気がついていたのですが、今まで何度も膝カックンしているわけですが、そのほとんどが左足という事実です。つい数日前もリビングのカーペットの端で膝カックンして真下に落ちたので尻餅をつきましたが、やっぱり左足でした。

リハのPTさんと対策を考えるにあたり、この事実を話しました。一番の問題は腿の前側の筋肉が落ちているからなのですが、そんなに急激に落ちていませんし、考えてみれば筋ジストロフィーを発症していない20代の時にも膝カックンしていました。友達に「突然視界から消えてびっくりした」と言われたのを思い出しました。

さらに膝カックンしないためには膝を伸ばした状態で膝をロックしなければならないのですが、それに必要なのは腿裏の筋肉なのだそうです。PTさんが言うにはむしろ左側の腿裏の筋肉の方が太いし硬いそうです。と言うことは筋力低下が大きな原因ではないと思うのです。

となると筋肉というよりは神経の問題なのではないか、という話になりました。そうなると自分で制御することは不可能になるので、その対策を考なければいけません。でも自分が気をつけることが一番なわけですし、後は膝にサポーターをつけるくらいしかありません。

骨盤のゆがみが原因という仮説

そしてPTさんに筋肉のマッサージをしてもらいながら自分なりにいろいろ考えて仮説を立ててみました。

まず、自分は骨盤が歪んでおり骨盤の右側が上がっています。これは電車通勤の時に気がついたのですが、ガラスに写る自分のシルエットを見てるとベルトが斜めになっているのです。骨盤の右側が上がっているからベルトも右側が上がっているのです。

ですから私の姿を正面から見ると、右足が左足に比べて短く見えるのです。実際何人かの人にそのように指摘されたこともありました。ですから歩く時も体が左右に大きく揺れます。

そのような状態になると歩くときどうなるかというと、例えるなら左足をつくときは高いところに上り、右足をつくときは低いところに降りる感じです。もっとわかりやすく言うと、左足だけ靴を履いて歩いているイメージです。

私は筋力がないので足をつくときは膝を伸ばしてロックして膝カックンしないようにして地面に足をつきます。ですから地面にある小石を踏んだり凸凹に乗ったりすると、このタイミングがズレてロックする寸前に地面に足をつき、耐えられずに膝カックンすると言うわけなのです。

そして、左足の方が高いところに上るイメージなので、「うまく体重が乗り切らなかったりすると膝カックンしてしまうのではないか」という仮説を立てたのです(大袈裟)。

それをPTさんに話すとその可能性は十分あると言われました。それならばそうならないようにに障害や麻痺のある患者さんによく施す手法で改善ができるということで、それ用の対策をしましょうということになりました。

左右の足の高さをそろえる

じゃ、それはどういうことかというと、左右の足の高さを揃えるという簡単なことなのです。左右の脚の高さが違うので左足をつく時に上るような感じになるのですから、左右の脚の高さを揃えればフラットになりスムーズに体重を乗せることができ、膝ロックのタイミングがズレることがなくなるというわけです。

左右の足の高さを揃えるためにすることは、靴のインソールの下にシートを入れて高さを調整するという事です。私の右の靴のインソールの下に厚さ3.0ミリのゴム?のシートを中敷きの大きさに沿って切り、靴に両面テープで貼り付けてその上に中敷きを敷きます。

シートの厚さを2ミリか3ミリか、はたまた5ミリにするか迷ったのですが、まずは3ミリにして様子を見ることにしました。たった3ミリですがPTさんが「かなり違うと思います」と言っていました。いつもPTさんにはいろいろと靴に細工をして悩みを解決もらっていますので、今回も疑うことなく従いました。

そしてその靴を履いて歩いてみます。感想としては左足をつくときの「よっこらしょ」的な感覚がなくなり、スムーズに体重移動ができる感じです。そうなると歩き方も安定するようで、足がスッスッと前に出てきます。そしてその姿を動画に撮って見てみると、今までの体重移動で体が左右に大きく振れるのが随分と抑えられています。

体のバランスが重要

これは私の次男もそうなのですが、補装具を作りその調整をしているときに左右の高さが合わないと、腰が引けたりしてとても不自然な姿勢になりうまく歩くことができないのです。しかし医師の指示で左右の足の高さを揃えると、さっきまでの姿が嘘のように普通に歩けるようになるのです。それを見て体のバランスというのはとても大事なことなのだなと思っていたのですが、いざ自分がそういう体験をすると本当に驚きますし納得します。普通に足が出るようになるというのは、とても歩きやすくなるという事なのです。

そんな体験をしてしまったものですから、次回リハを受けるときには家にある靴を全部持って行って高さ調整をしてもらおうと思っています(笑)。

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