靴の中敷きの調整で歩くスピードがアップした

病院へは三ヵ月に一度通っているのですが、今回はリハビリテーション科で2週間前に腰と背中を痛めたこと、足の指が攣ること、さらに足の外側のタコをとったことを話しました。すると理学療法士さんが私の靴の中敷きを取り出し、中敷きに着いた足形を見てその中敷きにちょっとした細工をしたところ、劇的に歩くスピードが上がったのです。

履きなれたニューバランス574

すっかり足に馴染んだニューバランス574

リハビリテーション科受診

2週間前に家の玄関で尻餅をつき腰と背中を痛めてしまった話をしました。3日間会社を休みその後は骨盤ベルトをして毎日ロキソニンを飲んで会社に行っていて、痛みが和らいできたので2日前から骨盤ベルトを外してみたと言うと、OT・PTともに療法士さんから
「病院で何と言われました?」
「病院行ってないし」
「行かなきゃダメでしょ」
「行ったところでレントゲン撮って骨に異常ない言われて湿布と痛み止め出されるだけだから」
「骨にひびとか入っているかもしれないし」
「骨にひびが入っていれば自分でもわかるし」
「まったくもう・・・いつもそうなんだから」

と言うまるで病院嫌いのおっさんのような会話を交わしたのでした。別に病院が嫌いなわけではありませんし、嫌いだったら三か月に一度定期的に通いません。むしろ色々な事を教えてもらえるので好きな方です。ただ、何かあって病院へ行っても呼ばれるまでずっと立って待っていなければならないのと、診察室に入っても医師の横にある丸椅子に座ると立てないので行きません。整形外科に限らず内科でもどこでもそうなんですが、「椅子に座ると立てなくなるので」と言うとほとんどの医師が「じゃ、立ったままでいいです」って言います。「は?」じゃないですか?

具合悪くて来ているのに「立ったままでいいです」って。そう言われるたびに「この人、症状にしか興味ないんだ。人には興味ないんだ」って思います。この病院の神経内科の担当医だけですよ。「そうだよね。じゃ、こっちのベッドに座って。もうちょっと高くする?」って言ってくれるのは。どの診察室でも後ろに診察用のベッドがあるじゃないですか。なのに「じゃベッドに座って」と言う医師はいません。だったら自分で後ろのベッドに座って良いか聞けよって話ですが、毎回「自分は筋ジストロフィーを患っていて、筋力が低下した今、普通に椅子に座ると立てないんです。でもあちらにあるベッドなら立つときにベッドに膝や手をつけば何とか立つことが出来るのでベッドに座りたいのですが」といちいち説明するのも面倒です。でもってわかりきった回答と薬をもらうだけなら無理して医者に行く必要も無いと思っています。それに筋ジストロフィーですから普段自力で歩くだけでも大変な労力を要するのに、具合が悪い状態で病院に行くこと自体無理があります。ですから怪我は仕方ないとしても風邪をひいたりしないように注意していることは言うまでもありません。

実際、筋肉を痛めることはしょっちゅうですし、膝折れして足の指に全体重がかかり骨にひびが入ったこともあります。腕を螺旋骨折したこともあります。階段で頭から落ちて首が思いっきり曲がって腕を動かすことが出来なくなったこともあります。同時にふくらはぎの筋肉を折り畳み自転車のハンドルに強打して筋肉を断裂したこともあります。そういう時はまず手や足の末端が動くかどうか、痺れがあるかないか、痛みはどこにあってどんな痛みなのかの確認は基本です。

今回も痛みの場所や質、範囲で骨に異常はないと言うのはわかりました。自分なりにいくつかのチェックをした上で「とりあえず今は病院に行く必要はない」と判断したのです。怪我をあまりしない人からすると(普通はなかなか怪我はしないけど)ビックリするのかもしれませんが、しょっちゅう怪我したり痛めたりしていると経験値が上がり少々の怪我じゃ驚かなくなるのです。

OTは生活と労働環境相談

リハビリはOTとPTがあります。OTは作業療法なのですが、私は手先も普通に動くのでそのリハビリはありません。世間話をしながら上半身のケアをしてもらい、生活面での相談にのってもらっています。今57歳ですが、60歳の定年まで働き続けることができるのか。そこからさらに5年、身体的に働くことが出来るのか。補助器具を使えば65歳まで働くことが出来るのか、などなど。他にも自宅で問題なく日常生活を送るためのアドバイスや補助器具の情報、それから支援制度も教えてくれます。以前家の階段とトイレに手すりを付けたのですが、それもOTでシミュレーションして手すりの高さを何㎝にすれば良いのか出してもらったのです。

PTはリハビリ相談

一方、PTは体幹から下半身の筋肉のストレッチやケアをしてくれます。私の場合は3ヵ月に一度の受診ですので、体のチェックや問題のある部位のストレッチが中心になります。自分なりに考えてストレッチをしているのですが、果たしてそのやり方や考え方が正しいのか確認しています。痛みがあったりすると、どんな状態の時に痛みがあってどうだとか細かく話すと、これはこの筋肉がこうなるので痛みがでるとか詳しく解説してくれますのでとても参考になります。いわばリハビリ相談って感じです。

靴の中敷き調整して歩行改善

今回のPTでは左足の指が頻繁に攣ることと、昔からある足の外側のタコを取ったと言う話をしました。足の指が攣るのは筋肉に負担がかかっているので温めてマッサージするしかないと言う事でした。わかってはいるのですがね。なかなかうまいことマッサージが出来ないので困っているので良い方法はないのかと思ったのですが、地道にやるしかないそうです。ちなみに足の人差し指から薬指の3本の間の足の甲にかけての筋肉を押すと凄い痛みがあるのですが、理学療法士さん曰く「普通は痛くない」そうです。やはり歩き方に問題があるからその筋肉を酷使して硬くなって攣りやすくなっているのだそうです。

靴の中敷きに着いた足形からわかった歩行の癖

そして足の外側のタコ。両足裏の小指側の小指球にタコが昔からあって、年齢的な物かそのタコがカサカサになって靴下がすぐ破けるようになったので、5月の10連休にタコを取ったと言う話をしました。今回話した中で一番どうでもいい世間話的な話題だったのですが、それを聞いた理学療法士さんはおもむろに私の愛用しているNew Balance574の中敷きを取り出しました。もう半年以上履いているのですが、なんと中敷きにうまい事足形がついていたのです。それを見て「ヨースケさんはかなり外側に体重がかかっていますね」となり「普通はかかとから外側を通って母指球の方に体重が移動して最後に地面をけるのですが、あまり母指球に体重がかかっていませんね。真ん中に体重がかかっています」と言われました。理学療法士さんも自分の中敷きを取り出して私の中敷きと比べたのですが、理学療法士さんの中敷きは母指球のところがかなり潰れていてちゃんと母指球に体重が乗っているのがわかります。

ニューバランス574の中敷き

ニューバランス574の中敷き

私の場合、特に左足が母指球ではなく真ん中がへこんでいるのでそれが足が攣る原因かもしれないということです。普通人間の足は正面から見てもアーチ型になっているのですが、私の場合は真ん中がへこんでいないと言う事です。つまり歩き方などで負担がかかり、筋肉が硬くなっていると考えられるそうです。

と言うことでソールの裏側に1ミリのゴムを切って二重にして貼り付けました。歩くと母指球と小指球の間のやや小指球寄りのところに出っ張りが当たる感じです。それで筋肉を押して柔らかくすると言う事だそうです。歩くたびにマッサージしていることになる訳ですね。

中敷きに細工をしたら歩行がスピートアップ

そして両足の小指球の下から踵の方へ10㎝ほどの長さでゴムを貼りました。そして歩いてみると、左足は貼ったことによって高さが変わったのが良くわかるのですが、右足はあまり感じません。考えてみれば骨盤がゆがんでいるので常に左足荷重になっていますし、「休め」の姿勢では左足体重で右足を前にだすのはOKなのですが、逆に右足に体重を乗せて左足を前に出すのは苦手です。と言う事で右足の外側にもう一枚ゴムを貼って2ミリの高さにしました。そして歩いてみると右足も外側が高くなったのが感じられました。

カスタマイズした中敷き

ニューバランス574の中敷きの裏から高さ調整

しかし驚いたのはたったそれだけで歩く時に足がスッスッと前に出るようになった事です。意識していないのに歩くスピードが速くなっているのです。普段は歩く時に体重が外側に逃げてしまうので体を大きく左右に揺らして体重移動をしながら歩いていたのですが、外側を高くすることによって体重が逃げず、その反動で体重を反対側の足に楽に乗せることが出来るようになったので足がスムーズに出るようになりスピードが上がったのです。たったそれだけのことでこんなに改善されることに驚きました。

それから何日か経ちました。まず足の真ん中に貼ったゴムですが、病院から帰るときやその翌日歩いた時は硬くて痛みを感じました。「あ、ちょっとまずいかな?」と思い剥がすことも考えたのですが、別に足裏が腫れているわけでもないですし、靴を脱げば痛みも無くなるのでそのままにしていました。でも昨日あたりからその痛みもそんなに感じなくなりましたし、最初は硬い物を踏んでいる感覚だったのが、柔らかい物を踏んでいる感覚に変化してきました。つまり硬かった筋肉がマッサージされて少し柔らかくなってきたということでしょうか。しばらくこのまま様子を見ることにしました。

そして足の外側を高くして歩きやすくした訳ですが、それは今も変わりません。靴を履いて外側が高いという感覚はなくなりましたが、自分の感覚よりも早く足が出て歩くスピードが上がってしまうので、気を付けないと膝折れして転んでしまうリスクが高まりました(笑)。なので今は意識してゆっくり歩くことを心掛けています。

リハビリと言うと体の筋肉を伸ばしたり、歩いたり体を動かして機能回復訓練することだけだと思っていましたが、靴の中敷きにちょっと細工をするだけで歩行が改善されるのですから、なかなか奥が深いと思いました。そういったすべての物が関連して初めてリハビリになるんだなと思った次第です。

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