筋ジストロフィー経過詳細②検査入院、筋生検

医療とは

2002年4月半ばに改めて大学病院に検査入院しました。看護師から色々と入院についての説明を受けてから病室へ移動します。

入院、筋肉組織採取

まずは基本的な血液検査など。一般病棟でしたので、看護師が来て採血をしました。採血室での採血とは違い、結構太い注射器(?)のようなものにガッツリと採血し、それを試験管のような容器8本に小分けします。うーん、なんて効率的。採血室ですと、一本一本差し替えながら採血するので時間がかかりますが、この方法なら時間短縮できます。その他にレントゲン撮影、心電図、心臓の超音波検査、止血までの時間計測などを行いました。

各種検査

その後いろいろな検査を受けます。、脳及び頸椎のMRI、心肺機能検査、神経伝達検査などなど。神経伝達検査では、筋肉に電気を流されたり、まるで実験されている感じでした。というのも痛いのはもちろん、電気流されるたびに体がはねて、終わった時には全身汗まみれでしたから。どう考えても研究材料ですが、大学病院ですから仕方ありません。

筋肉組織の採取

筋肉組織の採取は処置室で行いましたが、左腕の上腕の筋肉を5cm採取しました。最初は右足の腿の筋肉と言われたのですが、近位筋が侵されていくのに歩行に必要な腿の筋肉なんてあり得ません。しかも私はケロイド体質ですので、縫ったところは100%ケロイド状に盛り上がります。さらにそれがひきつる感じでずっと痛むのです。事実、約25年前に左腕の上腕を螺旋骨折したのですが、神経のそばで手術が出来なく45日間入院しました。当時腕は腫れてものすごく太くなりました。はっきりとした理由はわかりませんが、恐らく内出血の影響だと思いますが、左肩の後ろに二つケロイドが出来ました。それが今でも治っていませんし、時々ひきつるように強く痛みます。そんな体質ですから歩行に重要な足がそんな状態になったのでは、たまったものではありません。左の上腕二頭筋から採取してもらいました。その採取した筋肉を冷凍し、小平にある「国立精神・神経研究センター」に送ってDNA検査をするとのことでした。そこは全国から検体が送られてくるので、検査に約半年かかると言われました。ですから結果が出るのは年末になるので、結果が出次第、病院から連絡をするからそれまで待つように言われました。筋肉組織の採取から約1週間後、抜糸してゴールデンウィーク前に退院しました。その後、その傷跡がケロイドになったのは言うまでもありません。

検査結果

結果が出たのは2003年1月です。担当医師から連絡があり、予約を取って結果を聞きに行きました。

肢体型筋ジストロフィー

私の筋ジストロフィーのタイプは「肢体型筋ジストロフィー・その他」だそうです。検査結果が出るまでの大体の目安が半年でしたので、約2ヶ月ほどさらに時間がかかったことになります。普通の遺伝子検査で半年かかるのですが、私の場合、現在わかっている筋ジストロフィーのどのタイプにも該当しなかったので、さらに追加の検査を行ったために時間がかかってしまったとのことでした。

結局よくわからない

肢体型筋ジストロフィーは大きく3つに分けられます。

  • ①常染色体優性遺伝(LGMD1)
  • ②常染色体劣性遺伝(LGMD2)
  • ③その他

さらに①常染色体優性遺伝(LGMD1)と②常染色体劣性遺伝(LGMD2)の中でもそれぞれいくつかの型に分類されます。そして近位筋が侵され①②のどちらにも該当しないものが出てきます。それが③その他と分類されるのです。
私の場合、筋生検の結果から

  • 「筋ジストロフィーかな」
  • 「どの型にも当てはまらないぞ」
  • 「でも近位筋が侵されるから肢体型かな」
  • 「でも肢体型のどの型にも当てはまらない」
  • 「その他だな」

という流れです。つまり、どの肢体型筋ジストロフィーにも当てはまらないけれども、症状としては肢体型筋ジストロフィーと同じだから③その他に分類、と言う事です。結局、今までにない新しいタイプなのでよくわからないということですね。今後、私と全く同じタイプの患者さんが増えれば研究対象になるだろうと言われました。

する事がない

そしていろいろと担当医師と話をしました。

  • その大学病院では、筋ジストロフィー患者は年に一人くらい来るという事
  • この病気には有効な薬や治療法が無いので、退院後は別に通院しなくても良いという事
  • もちろん何か心配事があれば来ても良いという事
  • 身体障害者手帳は車椅子になって3級だから、今取得しても何のメリットも無いという事

どう思いますか?どうしたら良いのかすごく不安なところにこのような事を言われたら。それはもう絶望感しかありません。病院にも見放された的な…。この大学病院の方針かもしれませんが、病院は治療が目的ですから、治療法が無ければ来ても意味が無い、と言う事のようです。医療とはいったい何なのでしょう。治療だけが医療なのでしょうか。後で思ったのですが、年に1人と圧倒的に症例数が少ないですから、医師もデータが無いのでしょう。だからアドバイスさえ出来ないと言う事です。きっと。でも、この時はまだ何一つ不自由な事もありませんでしたので、「二度と来るか」と心の中で呟きながら病院を後にしました。

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