筋ジストロフィー経過詳細⑤作業療法と理学療法

2013年。車通勤になって2年が経ちました。車通勤だからなのかどうかわかりませんが、足首や体が硬くなってきたように思い、主治医にリハビリテーション科を紹介してもらいました。
後日リハビリテーション科を受診し、リハビリテーション科の医師に今までの経過と今の問題を伝えました。ストレッチに関することなど色々とアドバイスを頂き、その後OT(作業療法)とPT(理学療法)に入りました。

OT(作業療法)

まずはOT(作業療法)からです。それまでの人生でリハビリというと、腕を複雑骨折した後の固まった関節の可動域を広げるリハビリをしたくらいです。今回も普通にストレッチとかだけだろうと思っていたら、作業療法まで。自分の中では作業療法というのは手先などの機能回復訓練というイメージでしたから、正直ピンときませんでした。

作業療法とは

まずは担当の作業療法士さんから説明を受けました。作業療法というのは日常生活の動作を出来るようにするということです。食事やトイレ、着替え、入浴などなど。健常者なら普通にできることをちゃんと出来るようにすることが目的ですが、機能回復だけではなく、不便なく日常生活が出来るように生活環境を整えることも作業療法に入るのだそうです。そういう意味では自分が思っていた手先の機能回復訓練もあながち間違いではありませんが、作業療法というのはもっと大きな意味があるのです。

カウンセリング

次に担当の作業療法士さんのカウンセリングを受けます。日常生活での不便を話しましたが、まだ日常生活の動作もほとんど出来るので、日常生活での不便を減らすこと、つまり手摺りをつけたりトイレのリフォームなど家の中のリフォームをすることを考えましょうとなりました。もちろん自治体の補助を受けてのリフォームです。私の場合、日常生活はまだほとんど大丈夫ですが一部できなかったり大変になってきたりしていましたので、そろそろ手摺りをつけなければと思っていました。

日常生活の不便

私の抱えている日常生活での問題は

  1. 階段の上り下りが大変である
  2. トイレで立つのが大変である
  3. お風呂で体を洗った後立つことができない
  4. お風呂で湯船から出るのが大変である
  5. 床に座ると立ち上がるのが大変である

という5点が大きな問題点です。

階段の上り下りが大変である

家で階段を上るのはもう普通に上れません。いつも這って上っています。ですから上る時に手摺りはあまり必要性を感じないのですが、下りるときは必要です。別の記事で書きましたが、階段の上から頭から落ちたのですが奇跡的に助かりました。体重を支えきれずに膝折れすることが一番怖いので、やはり手摺を取り付けなければいけません。

階段から落下、そして奇跡の回復
長男の大学入学式の朝、階段から落ちましたが九死に一生を得ました。まさに奇跡です。しかし首や肩、背中を痛めてしまいましたがコエンザイムQ10のおかげで奇跡的な回復を遂げました。

トイレで立つのが大変である

トイレで座った体勢から立つのがしんどくなってきました。普通には立てないので反動をつけて体を思い切り前に倒して立つので、前にあるドアを開けなければ立てません。ただ古いトイレですので、トイレのリフォームと同時に便器の交換もしなければなりません。

お風呂で体を洗った後立つことができない

これはどうしようもないかなと。普通、座って身体を洗いますよね。頭も洗って湯船に浸かるのですが、立てません。幸いなことに浴槽が少し低くなっているので、床に膝をつけば浴槽の縁を跨げるので、まず右足で跨いで右足を湯船に入れます。次に左足でまたぐと見事に浴槽の縁に座る形になります。ですのでそのまま湯船につかります。ここまでは上手いこと出来ました。

お風呂で湯船から出るのが大変である

問題は湯船から出る時です。どうやって立つのか。いろいろ試しました。

  • まず溢れるギリギリまでお湯をはる
  • 次に湯船の中でしゃがむ
  • 湯船の縁に手をついて反動をつけ浮力を利用してお尻を持ち上げる
  • そのまま浴槽の縁にお尻をのせる
  • 態勢を整えて浴槽の縁に腰掛けてから立つ

体調が良くないときは失敗しますがだいたい3回目で何とか座れます。今はこの方法で大丈夫ですが、これが出来なくなった時にどうするか考えないといけません。

床に座ると立ち上がるのが大変である

床に座ると立ち上がるのが大変です。どこかに手をついて立つわけですが、手をつく高さとか腕の角度とか色々と細かい条件があり、家の中でも立てる場所が決まっています。その場所以外では立てないのです。這ってその場所まで移動して立たなければなりません。床に座らなければ良いのでしょうが、冬はホットカーペットを敷いていますので、身体が異常なほど冷えるので座って温めなければなりません。これに関してはどうしようもないので、ソファを買ってそこに一度這いあがってから立つようにすれば良いのではないかという結論になりました。

シミュレーション

カウンセリングが終わると、今度はトイレのシミュレーションをすることになりました。壁にトイレの便座が付いたものがあり、高さを調節できます。そして脇には手摺りがあり、それも上下に移動できます。便座をどのくらいの高さにしてどの高さに手摺りがあれば楽に立てるか、のシミュレーションです。その結果、便座は55cm(通常は47cm)の高さ、手摺りは80cmの高さにあれば楽に立てることがわかりました。トイレのリフォームはこの数値を基本として考えることになります。次回受診時に、私の住んでる自治体の補助内容を調べ、家の中の不便な場所の写真(トイレ、風呂場、階段)を持ってくるようにということで終わりました。

PT(理学療法)

40分の作業療法が終わると次はPT(理学療法)です。いわゆるリハビリというやつになります。

理学療法とは

理学療法とはいわゆる皆さんがリハビリと聞いて想像するやつです。怪我や高齢、障害によって低下した身体の機能を回復させたり、維持するために行うことです。方法としては運動であったり、温めたり、場合によっては電気をあてたりします。私の場合は筋肉が今以上に縮むのを防ぎ、病気の進行を遅らせるのが目的となりますが、筋肉に負担がかかり硬くなっているものをほぐして機能を回復させることも必要になります。

カウンセリング

まずは担当の理学療法士の方によるカウンセリングです。身体の状態を自己申告します。硬いところ、動かないところ、痛いところ、気になるところ。それから日常やっている身体のケアについて。ストレッチはやってませんでしたが、特に足首が硬く、90度くらいしか曲がらないのでストレッチボード(起立台)にはよく乗っているのでその話をしました。その後、理学療法士さんによる身体の状態のチェックを行いました。

身体の不具合

私が感じている身体の不具合とは

  1. 足首が昔から非常に硬い
  2. 足の付け根の前側が縮んでいる
  3. 足を延ばした状態で座ることが出来無い
  4. 正座が出来ない
  5. 背中が丸まらない

という5点の問題があります。そしてそのことによる身体への影響が深刻です。

足首が昔から非常に硬い

私の場合、ふくらはぎ以外は筋肉が少ないのです。後ろ体重になると転びやすくなりますし、こらえることが出来ません。ですので足首が90度以上曲がらないと踵体重になりちょっとしたことで転んでしまいます。足首をまげて体重を前にかけなければなりません。そのために家では昔からストレッチボード(起立台)に乗っています。理学療法士さん曰く、私と同じような筋肉の状態の患者さんに比べて足首が柔らかいそうです。間違いなくストレッチボードに乗っている効果なので、続けてくださいとのことです。

ストレッチボード

ストレッチボード

足の付け根の前側が縮んでいる

これは腿の筋肉が縮んでいることと関係があるのだと思うのですが、私の立っている姿を横から見ると腰が引けたような感じに見えます。お尻が後ろに出ている感じです。こうなると背骨が思いっきり湾曲してしまうので、曲がった腰に重さがかかるので腰が痛くなります。前屈して腰を伸ばさなければ立っていられません。実際に骨密度測定で、重量がかかる部分の骨密度が非常に高くなっています。余談になりますが、骨は負担がかかると骨密度が高くなり、負担がかからないと低くなります。負担というのは私のような体重がかかることだけではありません。運動により骨についている筋肉が引っ張られることで骨に負担がかかるのです。ですから骨密度の低下を防ぐにはカルシウムを取るだけではなく、十分に運動もしなければいけないのです。

足を延ばした状態で座ることが出来無い

これは腿の裏の筋肉(ハムストリング)が異常に硬いのが原因です。前屈しても手が膝につくくらいしか曲がりません。しかし体を支えたりするのに必要な筋肉ですから、その負担は半端ないようです。とにかく硬いそうです。俯せになって筋肉を緩めても硬いそうです。こういう人はまずいないと言われました。毎日ハムストリングを伸ばすストレッチをしなければなりません。

正座が出来ない

腿の筋肉が縮んでいるので正座してもお尻が踵につきません。浮いています。ですからその態勢を続けるとすぐに腿と言うよりも、膝の上の筋肉がちぎれそうになるくらい痛くなりギブアップです。そう言えば俯せの状態で膝を曲げて踵を上げることが出来ません。

背中が丸まらない

猫背の姿勢が出来ません。自分では思いっきり背中を丸めて猫背の姿勢をしているつもりなのですが、横から見ると真っ直ぐで頭だけ前に出ている状態だそうです。背中に鉄板が入っているイメージですね。背中が曲がらないとどういう弊害があるかわかりますか?常に背中の筋肉が縮んだ状態です。普通俯せになれば背中の筋肉は緩むそうですが、私の場合は緩みません。横を向いてもです。そうなると、背中の筋肉に疲労がたまってくると痛みます。そう、寝ている時に痛むのです。決まって朝方に痛みで目が覚めるのです。そうなると何をしてもどこを向いても痛みます。痛みがなくなる唯一の姿勢が座った姿勢です。座って頭を前に垂れると頭の重みで背中が少し伸びるのです。と言う事は、十分に睡眠をとることが出来ないのです。これは非常に辛いです。ストレッチをしようにも、真っ直ぐなので厳しいです。少しでも湾曲していれば伸ばせるのですが、真っ直ぐなのでなかなか伸ばせません。伸ばしたつもりでだましだましやるしかないのです。

予防のためのストレッチ

今後の目的として病気の進行を遅らせるためにも、今後は意識して毎日ストレッチをするようにしましょうということになりました。自分が常に違和感を感じている部分のストレッチですね。たくさんの時間を掛けなくても、少しでもいいから毎日続けることが大切なんだそうです。それによって筋肉が縮まないようにすることは勿論、硬くなった筋肉をほぐすことが出来ます。スポーツ選手でも筋肉が硬くなると100%の力が発揮できません。ギリギリの筋力の私なら尚更です。少ない筋肉が持っている力を十分に発揮できるようにするためにもストレッチが必要なのです。これも余談になりますが、私の腰の筋肉は信じられないほど硬いそうです。いつギックリ腰になってもおかしくないと言われました。恐らく常に腰が反っているので背筋がピン!と伸びた姿勢だから大丈夫なんでしょうね。いいんだか悪いんだか…。

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