筋ジストロフィー経過詳細④身体障害者手帳の取得

初めての経験

前回、2010年3月に国立精神・神経センター病院の神経内科を受診したことを書きましたが、担当医が本当に話をよく聞いてくれる方でした。

将来への不安

今まで病院でこんなに話を聞いてもらったことはありません。初めての経験です。大抵途中で口を挟んで遮ります。すべてわかったかのように話しだします。それか、これ以上時間を掛けたくないから無理やりまとめて終わりにしようとします。筋ジストロフィーという病気は難病ですし、現代の医療でも治療法がなく治療薬もないのです。たとえ色々な検査をしたところで、それはあくまでも今現在のデータでしかないのです。患者からすれば、今後どうなっていくのか、何年くらいで歩けなくなるのか、心臓の筋肉は大丈夫なのか、何かほかに不具合が起きるのか…。など、将来への不安の方が大きいのです。

治療だけではない

担当医と話していて、多くの患者さんと接しているので、難病患者が何を望んでいるのかわかっているのだと思いました。治療だけが医療ではないのです。今回受診するにあたり、紹介状が無く7年前の検査データがありませんでしたから、筋ジストロフィーと診断されてからここまでの7年間の筋肉量などの変化がわかりませんでした。担当医としては、その7年間の変化がわかれば今後の進行具合などある程度予測ができるようです。患者としても、今後の進行速度の予測をきけば、抱えている不安の一部は取り除かれるのです。「7年前のデータがあればなぁ」と残念がっていました。そのデータがないので今から再スタートして、定期的な検査をして経過をみていきましょうということです。

餅は餅屋

そして先生から唐突に「身体障害者手帳は持ってますか?」と尋ねられました。今日初めて診察してもらったので、そういったことはまだ先と勝手に思い込んでいました。

身体障害者手帳について

「ずいぶんと早いな」と思いながらも、前の大学病院で「車椅子になって初めて3級がとれるので、今の状況では身体障害者手帳を取っても意味が無い」と言われたことを話しました。しかし担当医はそんなことは無いと言ったのです。今まで多くの患者さんが身体障害者手帳を取得するために診断書を書きその結果から、私のその時の状態で「下肢で2級はとれる」と言われました。2級であれば、日常生活でのメリットがあるので、まずは身体障害者手帳を取りましょうということでした。身体障害者手帳の申請書は自治体によって違うので、次回(1か月後)受診時に申請書を持ってくるように言われました。やはり症例数というのはとても大事です。今までは治療法や治療薬もないし、身体障害者手帳もとれなくて、なんか真っ暗闇の中にいるような気がしていました。しかし、担当医の言葉に急に目の前が開けた感じがしました。決して病気が治る訳ではないのですが、何か目標が出来たというか、病気に対して気持ちが前向きになったような気がしました。

手帳の申請

翌4月に身体障害者手帳の申請書をもって受診しました。そして頭部のCT撮影と骨密度計測を行ってから再度診察です。CT画像をみて問題が無いことを確認しました。そして骨密度計測の結果をみたのですが、骨密度だけではなく部位ごとの筋肉量や脂肪量までわかるのですね。驚きました。これが現在の私の数値であり、ここからスタートして毎年経過を見ていくことになります。その後身体障害者手帳申請書に記入してもらいました。数日後、市役所に行き身体障害者手帳の申請をしました。

2級取得

申請から2か月後の6月に、身体障害者手帳を取得できました。等級は主治医の言った通り2級でした。市役所に行き、「障害者の手引き」的なものをもらい、支援制度や補助について説明を受けました。やはり餅は餅屋、ではないですけれど、もし筋ジストロフィーと診断されたら、早めに専門の病院で診てもらうことをお勧めします。

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