筋ジストロフィーで障害年金を請求する

筋ジストロフィーの私は現在障害厚生年金2級を受給しています。2010年3月に国立精神・神経医療研究センター病院を受診し、すぐに身体障害者手帳の申請をしました。6月に身体障害者手帳2級を取得できたので、次は障害年金の請求です。病院を変えた途端、すべてが動き出したような気がしました。

※内容は2010年当時のものですので、最新の情報は日本年金機構のホームページ等で確認してください。

障害年金とは

障害年金は病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。障害年金には障害基礎年金と障害厚生年金があり、病気やケガで初めて医師の診療を受けたときに加入していた年金によって違います。また、障害年金を受給するには、年金の納付状況などの条件があります。詳しいことは日本年金機構のホームページで確認してください。

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/jukyu-yoken/20150401-01.html

障害基礎年金

障害年金を請求するその病気で初めて医師の診療を受けたのが20歳未満であったり、国民年金に加入している場合は障害基礎年金になります。障害基礎年金には1級と2級があり、さらに高校生までの子供がいる方には障害基礎年金以外に子の加算があります。

障害厚生年金

障害年金を請求するその病気で初めて医師の診療を受けたのが厚生年金に加入している時であれば障害厚生年金になります。障害厚生年金の計算はその人の平均標準報酬額や厚生年金に加入していた期間などによって年金額が変わります。障害厚生年金には1級、2級の他に3級があり、さらに配偶者がいる場合には配偶者加給年金がありますが、3級の方にはこの配偶者加給年金はありません。

障害年金請求の準備

私の場合、身体障害者手帳を6月に取得した後、すぐに障害年金を請求しようと思いました。後から分かったのですが、障害年金の請求は社会保険労務士さんなどの専門家に依頼しても良いのだそうですが、その時はそんなことなど知らずに自分でやるものだと思い込んでいました。自分で障害年金の請求をしたのですが、障害年金の制度や受給要件を理解する良い機会だったと思っています。ここでは自分が申請した時の流れを書こうと思います。

年金事務所に行く

筋ジストロフィーで請求する障害年金のことは何もわからなかったので、まずは説明を聞いた方が早いと思い、2010年7月に会社の近くにある年金事務所に行ってきました。

事後重症請求

まずそこでパンフレットを貰い障害年金について説明を受けました。さらに障害認定基準書をもらい私の年金納付状況の確認後私の病歴について聞かれ、初診日が2002年大学病院で筋ジストロフィーと診断された日であり、その時はまだ障害の程度が軽く障害等級に該当しなかったのですが、その後筋ジストロフィーが進行し障害等級に該当するようになったと言う事で私の場合は事後重症請求になるとのことでした。事後重症請求の場合障害年金の受給が決定すると、請求した月の翌月から支給されます。

障害年金申請に必要な物

そして障害年金の請求時に以下の物が必要となります。私の場合は配偶者があり、18歳以下の子供がいない場合です。

  1. 年金手帳(本人・配偶者)
  2. 戸籍謄本
  3. 住民票(世帯全員)
  4. 提出する年度の非課税・課税証明書(配偶者)
  5. 認印(シャチハタ不可)
  6. 預貯金通帳(請求者名義のもの)
  7. 診断書(現在の状態のもの)
  8. 病歴・就労状況等申立書
  9. 受診状況等証明書

以上9点揃えて請求することになります。この中で医師に書いてもらうのは7.診断書と9.受診状況等証明書になりますが、所定の様式がありますのでそれに書いてもらう必要があります。

診断書、受診状況等証明書を書いてもらう

2010年に病院を変えたので、この頃は2ヵ月に一度病院に通っていました。そのため7月に年金事務所で障害年金の請求に関する説明を聞いて翌8月にちょうど病院受診予定だったので、その時に診断書と受診状況等証明書を書いてもらいました。

診断書はA3サイズ両面の所定の様式があるのですが、体の関節の角度を測る項目も多く、その場で測りながら記入してもらいましたが、それだけで軽く1時間かかってしまいました。これから障害年金の請求を考えている方は医師に相談し、あらかじめ様式を送ってわかるところを先に記入してもらうなどした方が良いかもしれません。私の場合はその場で書いてくれましたが、予約状況によっては後日郵送になったりするかもしれませんし、そうなると障害年金の請求も遅れることになります。事前に医師と打ち合わせをして下さい。

病歴・就労状況等申立書を書く

これは自分で書くのですが、これもA3両面の所定の様式です。下書きをしたり書き直しすることも考えて予め様式のコピーをとっておくことをお勧めします。見本が無いのでどう書いていいものかわからず何度も書き直しました。しかし各項目で状況を記入する欄が狭く長々と書けませんので、短くわかりやすく書くことを心掛けました。書くたびに自分が審査する立場で理解できるか確認しながらでしたので、結構苦労しました。

障害年金を請求する

そして上に書いた9点を揃えて2010年9月下旬に年金事務所に障害年金の裁定請求を提出しました。そこで受付の控えを貰い後は自宅に年金証明書が送られてくるのを待つだけなのですが(該当しないこともある)、そこまでにかかる期間は約3ヶ月半と書いてありました。恐らく2011年の1月半ばには結果が出ることになります。

不備書類の提出

2011年1月初めに年金事務所より書類整備の依頼(不備書類の提出依頼)がありました。実は私、小学生の頃に母に連れられ総合病院に連れていかれました。その後東京の大学病院に連れていかれ検査をしたのですが(詳しいことは覚えていません)その話を現在の主治医に話していて、その記入があったにもかかわらず私が「病歴・就労状況等申立書」に記入していませんでした。もう40年も前の事でカルテも無いでしょうし、なんで大学病院に連れていかれたのかもわかりませんでした。親に尋ねても「昔のことで覚えてない」と言われていたのであえて書きませんでした。

年金事務所からの整備依頼の内容は

  1. 40年前の記録があれば「受診状況等説明書」を提出し、記録が残っていない場合は「受診状況等証明書が添付できない理由書」を提出すること
  2. 最初の大学病院受診から筋ジストロフィーと診断された大学病院を受診するまでの間についても「病歴・就労状況等申立書」を提出すること

という2点でした。

受診状況等証明書が添付できない理由書を提出

その大学病院に電話して一応確認しました。もちろん40年も前の記録が残っているはずがありません。あったとしても探すことも無いでしょう。今の病院に移るときも紹介状を書いてもらおうと大学病院にお願いしましたが「7年経っているのでカルテはありませんから紹介状は書けません」と言われました。大体カルテの保管期間は5年のようです。なので「受診状況等証明書が添付できない理由書」という所定の様式に記入しました。

病歴・就労状況等申立書の提出

小学生の頃から40歳で筋ジストロフィーと診断されるまでの期間についても「病歴・就労状況等申立書」を書かなければなりません。1つの期間が長い場合は3年から5年に区切って記入するように書いてあります。なので①小学生の時に大学病院を受診した時、②学生時代、③社会人になってから、④発症まで、に分けて書きました。

この二つの書類を再度年金事務所に提出しました。あとは結果を待つだけですが、ここからまた3ヶ月半かかるのかなと思いながら待ちました。

障害厚生年金支給決定

そして3月11日の東日本大震災の余震が続く中、4月に支給決定通知書が届きました。やっぱり3ヶ月以上かかりました(笑)。厚生年金を納めている期間ですから、障害厚生年金の2級になりました。障害厚生年金は2ヶ月に一度振り込まれます。

自分は障害年金の請求を当たり前のように自分でやりましたし、皆そうしているのだと思っていました。しかし考えてみれば障害があって自分で請求できない方もたくさんいる訳で、専門家に任せるのもアリだと思います。

自分で請求するに当たってわかりにくかったのは初診日です。色々な検査の結果病気とわかったとしても、最初に異変を感じて病院にかかった日が初診日になりますので、その日が特定できないと障害年金の受給が難しくなることがあるようです。

自分の場合は約40年前に大学病院にかかっていたのですが、そこで筋ジストロフィーと診断されていなかったことと、その記録が無かったのでそこが初診日にならず40歳で筋ジストロフィーと診断された日が初診日になり、後日障害が進んでの請求なので事後重症請求になりました。

ただ、年金事務所に行った時に制度と請求手続きの説明だけではなく、病気の経過などを尋ねられて事後重症請求になるなどいろいろとアドバイスを頂いたので自分で請求できたのだと思います。

障害年金の受給要件には当然ですが国民年金や厚生年金をある程度納めていることが最低条件になりますのでよく確認して請求してくださいね。

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