筋ジストロフィーになって考えたこと

このブログを始めて9ヶ月が過ぎました。この先記事を書いていく中で、私が日常生活を少しでも楽に過ごせるようにと使っている物などを紹介していこうと思っているのですが、その度にそれを使うようになった経緯や背景を書くのもなんなので、私が筋ジストロフィーと向き合っていくための基本的な考え方を書いておきたいと思います。

とりあえず肢体型筋ジストロフィーということ

何の治療法も治療薬も無い筋ジストロフィーになって考えたことがあります。私が肢体型筋ジストロフィーと診断されてから15年以上経ちました。大学病院では「有効な治療法も治療薬もないので通院しなくて良いです」と言われ、情報も少なく将来への希望も持てずに不安でしたが、体はまだ日常生活で困ることも無く見えない敵と戦っているようで、ただただ精神的に不安な毎日でした。そして徐々に筋力の低下が目に見えるようになり、筋ジストロフィーという難病を意識するようになりました。やっと敵が目の前に現れた感じです。そして病院を変え、定期的に検査をして体の変化や病気の進行具合を見ながらこの先の病気の進行を予測している状況です。この先どうやってこの敵と戦っていくのか。

現実的に今の医学では肢体型筋ジストロフィーに何の治療法も治療薬もありません。肢体型筋ジストロフィーは

  1. 常染色体優性遺伝
  2. 常染色体劣勢遺伝
  3. その他

に分類されます。筋生検をした結果で①か②に分類されるのですが、私の場合そのどちらにも当てはまらず、かといって他の筋ジストロフィーにも該当しないけれども、体の近位筋から侵されていくという肢体型筋ジストロフィーと同じ症状なのでとりあえず③その他に分類されるのです。ですから私の場合は「肢体型筋ジストロフィー③その他」に分類されているだけで、実際には何もわからないのです。私と同じ検査結果の検体がたくさん出てきて初めて研究対象になる訳ですから、この先何かわかる可能性も無いと思っています。私の主治医も定期的に研究センターに確認をとってくれているようですが、いまだに新たに分かったことは無いそうです。ただ、主治医からは私の症状や経過などから非常に似ているミオパチーがあり、その特徴がすべてが当てはまるわけではないので何とも言えないけれども「もしかしたら他のミオパチーの可能性も無くはない」とも言われています。もしかしたら将来的に診断が変わる可能性もありますが、どちらにしても今すぐわかるわけではありませんし、日々病気は進行していきますのでわかって研究が進んでくれたらラッキー程度に考えています。

人間が本来持っている力

こんな現状ですが、病気が進行していくのを黙って見ていられる性格ではありませんので何かしらやってみようと思いました。そして考えたのが「人間が本来持っている力」で何とかならないのかと言う事です。人間が本来持っている力というのは免疫力であったり自然治癒力というものです。この力が最大限に働けば病気は治らなくても進行を遅らせることが出来るのではないかと思いました。

人間の細胞は体温が約38℃くらいで力を最大限に発揮

そして色々調べていく中で「人間が本来持っている力」を働かせるには「体温」が重要であると言う事に辿り着きました。「人間の細胞は体温が約38℃くらいでその力を最大限に発揮する」という記述に出会ったのです。普通の人なら「本当かよ」と疑うと思います。しかし私の場合「人間の細胞は体温が約38℃くらいでその力を最大限に発揮する」と言う事に思い当たる経験がそれまでに何度かあったのです。

それまで必ず年に一度、風邪をひいて熱を出していました。そして夜も「熱があって怠いから寝る」と言って二階に上がるのですが、そういう時に限って階段をスイスイ上れるのです。その当時、普段はよっこらせ、って感じで階段を上っていたのですが、熱のある時に限って軽やかに階段を上れるのです。熱があって怠いのに、です。普段は体が軽く感じられることなんてことはないのに、熱が上がると体が軽く感じ階段を軽やかに上がれるのです。これは私の長年の疑問だったのですが、「人間の細胞は体温が約38℃くらいでその力を最大限に発揮する」と言うのを見た時に、一瞬でその長年の疑問が解けたのです。そしてこれはやってみる価値があるのではないかと思いました。2014年の夏の事です。

※これから書くことは、あくまでも私の経験で、全ての方に当てはまるわけではないと思いますので参考程度に読んでください。

体温を上げる

それまで私は平熱が35℃台でした。小さい時からそうです。小学生の時は夏のプールや予防接種の時に朝体温を測りましたがいつも35℃ちょっとでした。大人になっても変わらず35℃台でしたからそれが普通だと思っていましたので、まず体温を上げることに取り組みました。

過去に疲れが取れなくて週末に動けなくなったことがあり、その時に血行を良くしようと半身浴をしたり生姜をとったり色々なことをしました。しかし体が暖かい時は良いのですが冷めてしまえば元に戻ってしまうので、体の中から温めないといけないと言う事はわかっていたのでどうやったら体温が上がるのか調べました。

体温が低いと言う事は血行が悪いと言う事です。悪いと言うと語弊がありますが良くはないから体が冷えて疲れも取れないのです。当然代謝も悪くなります。そう言えば筋生検したときに大学病院の先生に「ヨースケさんは切っても血が出ませんね」と言われました。どうやら筋肉を採取するために切っても中にあまり血が溜まらなくて楽だったようです。「たまにそういう人がいるんですよね」とも。血行が良ければ体中の毛細血管にも血が巡るのですから、筋生検で切れば血がでるはずですよね。そんなことからも体温が低いと血行が悪いというのはわかりました。

栄養不足が血行不良の原因?

そんななか「栄養が足りないと血行も良くならない」という記述を目にしました。それまでどんなに調べても入浴法や生姜しか出てこなかったのですが、これは驚きでした。考えてみれば現代人は栄養が不足しているのではないかと思います。昔の野菜は有機肥料で育てられていましたから、必要な栄養素以外にも微量要素(ミネラルなど)も野菜にあったと思います。今は化学肥料ですから重要な栄養素をピンポイントで与えることが出来ますが、敢えて与えなければミネラルなどは不足してしまいます。さらに現代人はコンビニやファストフードで食事を済ませたりします。昔に比べたら栄養は少ないですし、レンジでチンすれば栄養素も壊れてしまいます。

そんな訳でまずは体に必要なビタミンを摂ることを心がけましたが、食事でとるよりもサプリの方が効率が良いと思い、ビタミンB群、C、Eをサプリメントで補うことにしました。

サプリを飲み続けて1年経過すると、なんと体温が上がっていました。朝体温を測っても36.4℃あります。それ以来毎日体温を測りましたが35℃台に下がることはありませんでした。体温が上がった事自体驚きなのですが、さらに驚いたことが二つありました。

胃酸過多が治った

私は中学生の頃から胃痛が出始めたのですが、性格的に結構神経質ではないのですが心配症で、病院で神経性胃炎と診断されていました。お腹がすいてくると胃が痛くなるのです。特に筋ジストロフィーが進行してからは、普通の食生活をしているだけでカロリーオーバーになるようで太ってしまいます。体重が増えないようにするために食事量を調整しているのですが、空腹時間が長く続くと胃が痛くなるのです。普通の胃薬では効かないのでガスター10を服用し、胃痛が治るとガスター10の服用をやめるのですが、やめると数日後にまた胃が痛み始めるという無限ループ状態でした。元々胃は丈夫で消化する力も強いですし、朝起きぬけにご飯二杯は平気で食べられる人間でした。胃酸が多いから消化する力も強かったのですが、胃に食べ物がないとその胃酸で胃を荒らしてしまっていました。そんな訳で会社からの帰りの車の中では空腹で胃が痛くならないように何かを食べることにしたのですが、カロリーを抑えるために毎日蒟蒻ゼリーを食べていました。

そして胃酸過多について調べてみると、胃酸の分泌は人間の意思とは関係のない部分、つまり自律神経によって制御されているのです。もしかしたら乱れた自律神経を整えれば胃酸過多が治るのではないかと思ったのですが、どうやったら自律神経を整えることが出来るのかわかりませんでした。しかし驚いたことにその胃酸過多が治ったのです。空腹状態が続いても胃が痛くならなくなったので、今では帰りに何も食べていません。

寝つきが良くなった

これも中学生頃からの悩みなのですが、私は寝つきが悪く1時間で寝付くことが出来たら「すごい早いじゃん」というレベルでした。そして1時間で寝付けないと寝られないことを意識しだし、色々考え始めて寝付くのに3〜4時間くらいかかるようになりました。これも長年の悩みで、昔仙台に出張に行くのに朝7時の新幹線に乗って寝ようと思って頑張るのですが、寝付けないまま宇都宮・郡山・福島を過ぎ仙台まであと20分、今日も寝れなかったな、と思ったとたんに寝付いて仙台で飛び起きたという経験が何度もありました。

そんな訳で早く寝付くために何も考えないようにと毎晩寝イヤホンして好きな音楽を聴きながら寝ていたら、1時間以内で寝付くことができるようになったのですが、その代償として一時的にですが「ヘッドホン難聴」になってしまいました。そして寝る時に音楽を聴くことをやめたらヘッドホン難聴は治ったのですが、また元に戻ってしまい寝付けなくなってしまいました。

寝付けないというのは交感神経が常に優位で副交感神経との入れ替わりが悪いからなのですが、これも自分ではどうすることもできない自律神経の問題です。

そんな長年悩んでいた問題もビタミンを補い出してから、驚いたことに治ってしまったのです。今では毎晩15分あれば寝付くようになりましたので寝イヤホンして音楽を聴く必要もなくなりました。そしてなんと会社で昼食後に寝ることもできるようになったのです。これまでの人生で食後に昼寝をしようと思っても寝られたことは一度もありませんでした。っていうか、昼間眠くなることが無かったのです。もう完全な超交感神経優位の状態です。それが今では毎日昼食後に15分位の昼寝ができるようになりました。そのおかげでなんとか夜の睡眠時間不足を補うことができています。

体温が上がり自律神経が整って悩みが解決

私の体に起こった事をまとめると、

  • ビタミンB群、C,Eのサプリメントを飲み始めた
  • すると血行が良くなった
  • そして体温が人並みに36℃台になった
  • すると自律神経が整い
  • なんと胃酸過多が治った
  • なんと寝つきが良くなった

となります。世の中では「体温アップで免疫力がアップ」の医学的根拠がないとも言われていますが、私の場合は体温が上がり血行が良くなる事で自律神経が整い不眠と胃酸過多が治ったようです。実際にこんな経験をすると、いかに血行が良くなる(体温が高くなる)事が人間にとって大事なことなのかが良くわかりました。それ以来、日常生活でも体を冷やさないように注意して、外からも体を温めるようにしています。

食べる物を意識する

血行を良くして体温を上げることをしながら同時に食べ物について考えました。人間の体は自分が食べてきたもので成り立っています。悪い物を食べていれば体も悪くなるでしょうし、良い物を食べていれば体も健康になるはずです。そう考えると自分が食べる物の質について考えなければいけません。

食品添加物という化学物質

花粉症が現代病になっています。花粉症に限らず色々なアレルギーに悩まされている方が多い時代です。でも今の高齢者で花粉症の人をあまり見たことがありません。私の年代(50代)でも花粉症の人は少ないです。若い人ほど花粉症の人が多いように思います。個人的に一番の原因は食品添加物という化学物質の蓄積ではないかと思っています。昔はそんな物はありませんでしたから、高齢者で花粉症の人が少ないのではないかと思います。確かに食品添加物のおかげで日持ちがするようになり便利になりましたので食品添加物を否定しません。しかし日本は世界でも認可されている食品添加物が多い国です。もちろん1単品ごとに研究・実験をしているのでしょうが、

  • それら複数の添加物が混ざったらどうなるのでしょうか
  • 添加物が薬という違う化学物質と混ざったらどうなるのでしょうか
  • その化学物質が何十年に渡り体に蓄積したらどうなるのでしょうか

私はその答えがアレルギーなのではないかと感じるのです。

そんなことを考えたら食べる物が無くなってしまいますので、食品添加物が入っているという事を理解した上で食べていますが、それをわかっていて食べるのと知らないで食べるのとでは全然違います。気休めでしかないかもしれませんが、食材を買う時には一応表示を確認します。そして同じ食材でも添加物の少ないものを選んでいます。摂取する化学物質をできる範囲でなるべく少なくする事を心掛けています。

調味料を昔ながらの製法の物に

あとは自分が意識してできる事として、調味料を昔ながらの製法の物に替えることにしました。調味料は欠かせませんし、毎日使うものですからそれを変えることで多少なりとも効果があるのではないかと思っています。

醤油

醤油は発酵食品です。今では機械で短時間で発酵させることが出来ます。しかし私は杉の桶で1年かけて自然の力でじっくりと発酵させた物に替えました。発酵させる菌は何種類も同時に入れると死んでしまうそうで、金属タンクで発酵させる場合は主要な菌を順に入れて短期間で発酵させるそうです。一方昔ながらの杉の桶を使う場合、その桶に菌が住み着いていてうまい事順々に菌が働くそうです。最初の菌が働き、終わる頃になると次の菌が働きだすのだそうです。そうやって時間をかけて自然の力で十分に発酵した醤油に替えました。

味噌

味噌も発酵食品です。当然菌が活動している物を流通させることは困難です。菌が活動していれば発酵するので温度が上がります。流通過程で温度の高いところにあれば尚更です。そして密閉していれば容器が破裂する可能性もあります。ですから味噌には酒精という物を入れて菌の活動を止めるのです。味噌もやはりしっかりと発酵した物にしたいので、私は長野の味噌製造会社から数年かけて発酵させた味噌を買っています。食べてみて驚いたのですが、スーパーなどで買う味噌と比べてとてもまろやかで味が全然違います。

塩は精製塩ではなくミネラル豊富な海水塩にしました。人間などの生物は海が起源となっています。ですから体内成分も海の成分に近いのです。精製塩だとナトリウムしかありませんからそれを多く摂取すれば体の中のバランスが崩れ、崩れたバランスを整えるために体の中で色々な事が起こります。しかし海水塩ならば海の成分がバランスよく含まれているので体に負担をかけることもありません。私は味が薄い時は必ず海水塩をかけますので結構塩分は摂取していると思いますが、検査しても異常はありません。そして普段なかなか摂ることのできないミネラルも補給できます。

出来れば料理に使う油も変えたいのですが、使用する量を考えると経済的に厳しいので変えていません。しかし良質の油を摂取することでバランスをとれるのでオメガ3を多く含む亜麻仁油を食事の時に使っています。もちろん製法は40℃以下での低温で圧搾し無添加精製したものです。無添加精製したものは酸化しやすいですから当然遮光瓶に入っています。そして色も濃くて苦みもあります。しかし低温圧搾していても遮光瓶に入っていないものや色の薄い物は圧搾後に添加物で精製している可能性があるので選びません。オメガ3は加熱には向かないので、夕食時に白米のかわりに食べているの豆腐にかけたり、生野菜サラダにこの亜麻仁油と海水塩をかけて食べています。特に海水塩との相性が良く、サラダにかけると意外と美味で家族全員気に入っていますので、我が家にはドレッシングはありません。

他にはオリーブオイルとココナッツオイルを使っています。特にココナッツオイルは体脂肪になりにくい中鎖脂肪酸なので、主にホットコーヒーに入れて飲んでいます。ココナッツオイルは小腸内の腸絨毛を綺麗にし、栄養を吸収しやすくしてくれますので代謝が上がります。とは言っても油ですから摂り過ぎには注意しています。

風邪をひかなくなって病気知らずに

そんな事をしながら4年が経過しました。免疫力が上がったかどうかと言うのは目に見えないのでわかりませんが、今まで書いてきたように体温が上がり自律神経が整いました。そしてそれまでは毎年1度は熱を出していたのですが、この4年風邪をひかなくなりましたしインフルエンザにもかからず熱を出したことが1回もありません。

そしてある年の暮れ、長男から妻、次男と続けて高熱を出しました。元旦に病院へ行ったところ、3人ともインフルエンザでした。それまで普通に家族と接していましたが、私だけインフルエンザにかかりませんでした。実際には感染していて発症しなかっただけなのかもしれません。

そしてその年の秋、今度は長男がマイコプラズマ肺炎にかかり咳が止まらず大変なことになったのですが、その後、妻と次男もマイコプラズマ肺炎にかかりました。この時もやはり私だけマイコプラズマ肺炎にかかりませんでした。私は冬でも予防策としては手洗いとうがいだけで、マスクをすることもありません。こういった事があると、やはり免疫力が上がったのだと思います。

そして何より感じるのは、体の調子が以前より良くなったと言う事です。筋力などは順調に落ちているようですが、以前より怠く感じたりすることが減りました。前は月に何度か体が朝から怠くて会社に行くのも大変な日があったのですが、今はそんなにありません。筋ジストロフィーというと筋肉が落ちて歩けなくなるなどのフィジカル的な症状だけと思われますが、実際には筋肉が破壊されるメカニズムという物があり、血液の中の筋肉を破壊する酵素の値(CK値)が高くなったりするのです。そしてその血液が体中を巡っているのですから、当然体には怠さだったり筋肉の痛みがあって日常生活も楽ではないのです。それでも会社に行かなければなりませんし、そんな状態で一日を過ごさなければなりませんので結構しんどいです。それでも体温を上げる取り組みをしてから体に不調を感じることが少なくなったというのは私にとって大変大きなことで、これは人間が本来持っている力によるものだと思っています。筋ジストロフィーの進行が遅れているかどうかはわかりませんが、体調が良くなったというのは間違いありません。

かなり長文になってしまいました。次回は毎日を快適に過ごすためにしていることを書きたいと思います。

コメント