ラグビーワールドカップ2019

ラグビーワールドカップ準々決勝、日本代表は南アフリカ代表に3-26で破れ日本代表の旅は終わりました。日本代表チームはプールAのティア1国のアイルランド、スコットランドを破り、世界中の誰も予想しなかった4戦全勝の首位通過で決勝トーナメントに進んだのです。日本代表が勝ち進むにつれマスコミの報道は過熱し、日本中が興奮に飲み込まれ、準々決勝でもしかしたら南アフリカ代表に勝つのではないかと言う空気が日本中に漂いました。

ラグビーワールドカップ2019ロゴ

2015年グループリーグ日本VS南アフリカ

前回2015年イングランド大会のグループリーグで日本代表は南アフリカ代表を34-32で破り、世界中を驚かせブライトンの奇跡と呼ばれました。今回もまたあの時と同じように南アフリカ代表を破るのでは…とマスコミは煽り日本中が期待しましたが、さすがに夢は叶わずむしろ力の差をまざまざと見せつけられました。

前回大会ではグループリーグの初戦、しかも格下の日本という事で、南アフリカ代表は大したスカウティングもせず調整的な感じだったのではないでしょうか。サッカーでもそうですが、予選リーグの初戦というのは番狂わせが起きやすいものです。と言うのも大会は1ヶ月以上にわたって行われますから、決勝トーナメントに進むようなチームはチームのコンディションを決勝トーナメントにピークが来るように調整します。予選リーグを戦いながら徐々にコンディションを上げていくのです。反対に開幕に合わせてしまうと次第に疲労などでコンディションが下がっていき、決勝トーナメントで良いパフォーマンスを見せることができないからです。

逆に決勝トーナメントに進出することを目標にしているチームは予選で勝ち続ける必要があるので、初戦からマックスで戦わなければなりません。そんな思惑の違いがあるので初戦は大番狂わせが起こりやすいのです。とは言え大番狂わせを起こすには、それなりの実力がなければならないのも事実です。

2019年準々決勝日本VS南アフリカ

さて今回は準々決勝で南アフリカ代表と当たったわけですが、当然彼らも日本のラグビーを研究し尽くしてきました。当然前回大会で負けたという屈辱を4年間引きずってきたわけですから、今回勝って雪辱を果たさなければなりません。前回は予選リーグでの敗戦でしたので結果的に決勝トーナメントに進出しましたからさほど問題ではありません。しかし今回は決勝トーナメントですから負ければ終わりです。さすがに決勝トーナメントで日本代表に負けて敗退すると言うのは南アフリカ代表にとってあってはならない事です。当然南アフリカ代表も普通に決勝トーナメントで対戦する相手同様に日本を研究してきました。

もともと力の差はあるのですから、日本代表が勝つにはロースコアの展開に持ち込む必要がありました。相手のシンビンもあり前半を3-5というロースコアで終えたのはスコア的にまさに日本にとって理想的な展開だったとも言えます。しかしあわや相手のトライか?と思われるシーンが何度もありましたが、スローフォワードやノックオンなど相手のファールに助けられました。南アフリカ代表があんなミスをする事は珍しく、日本のプレッシャーが予想以上に強く相手も精神的に余裕がなかったのだと思います。

しかし後半、南アフリカ代表はフォワードで押してくる自分達のストロングポイントを前面に出してきました。日本代表は堪らず反則を犯し立て続けに二本のペナルティーゴールを決められてしまいました。勝負としてはそこで決まってしまったように思います。簡単に点をとった事で南アフリカ代表は精神的に余裕が出てきました。それからは出足の早いタックルで日本の早いラグビーを封じました。体も大きく力もありますからタックルし損なうこともなく一発で仕留めます。日本は相手のプレッシャーが早いのでスピードに乗ることができず、タックルをかわして前に進むことが出来ません。

南アフリカはボールへの集散が早く、日本ボールのラックになっても人数が多くすぐにボールを奪ってフォワードで前に出てきます。日本代表は予選リーグでアイルランドやスコットランドのティア1チームを破ってきましたが、それは素早く常に二人でタックルするなど数的優位で押し込んでいましたから、相手がスピードに乗ることができませんでした。

逆に今回は南アフリカが素早く数的優位を作ってきましたから、押し込まれながらパスを回さざるを得ずスピードに乗れず突破できませんでした。逆に日本のディフェンスは数的優位を作られ自慢のフォワードで押されズルズルとラインが下がっていきます。

やはり全力で予選リーグを戦ってきた日本代表には疲労が溜まっていたのでしょう。次第に動きが悪くなってきました。モールで押し込まれてもどうにも出来ずトライを奪われるなど実力差がはっきりと出でしまいました。

ティア2チームが決勝トーナメントに進む事は凄く難しい事なので、当初の目標のベスト8を達成できたのですから素晴らしい結果だと思います。予選リーグ全勝でグループ首位通過というのは事実ですし、決してまぐれで出来るものではないので、日本代表チームの実力が上がっているのは間違いありません。しかし優勝候補と呼ばれるチームとの差はまだまだあることがわかりました。

2023年フランス大会に向けて

今回のラグビーワールドカップがティア1国以外で初めて日本で開催され、日本代表チームの躍進もあって日本中が大いに盛り上がりました。この流れを一時的なものにせずしっかりと掴んでもらい、次回4年後のフランス大会に向けて強化していただきたいと思います。やはりエディーからジェイミーと継続してきた意義は大きいと思います。さらに継続する事でベスト4を狙えるチームになると思いますので、早くジェイミーの監督継続を決めてもらいたいと思います。新しい監督で新たにONE TEAMを目指すより、今関係性が上手くいっているONE TEAMを継続した方が良いのは誰の目にも明らかです。

さて、今日から準決勝です。

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