上原ひろみ SAVE LIVE MUSIC RETURNS ~PIANO QUINTET~

2021年が始まりました。今年もよろしくお願いいたします。

SAVE LIVE MUSIC RETURNS

上原ひろみピアノクインテット

さて、新年早々またブルーノート東京へ行ってきました。もちろん上原ひろみを聴きにです。昨年、ブルーノート東京でSAVE LIVE MUSIC と題して4種類のプログラムからなる16日間32公演を行ないました。

上原ひろみ SAVE LIVE MUSIC ~SPECTRUM~
上原ひろみ SAVE LIVE MUSIC ~SPECTRUM~に行ってきました。これはコロナ渦に苦しむライブ業界の救済に向けてブルーノート東京で4つのプログラムを16日間32公演行うもので、最初のプログラムのSPECTRUMを見てきました

そして今回はその続編という事で SAVE LIVE MUSIC RETURNS と題して3種類のプログラムを18日間36公演行います。その3種類のプログラムは

  • PIANO QUINTET
  • SOLO
  • DUO with Kazunori Kumagai (tap)

となっています。最初のPIANO QUINTETだけは年末年始の8日間という長丁場の公演ですが、他の二つのプログラムはそれぞれ5日間の公演です。

さらに追加で2021年1月1日には先に新年を迎えた日本からニューヨークのカウントダウンを祝うニューイヤー・コンサートが行われました。このライブストリーミングはブルーノートNew Yorkの配信サイトから全世界に配信されたのですが、うっかりしていて申し込むのを忘れていました(涙)。残念です。

昨年12月にこのPIANO QUINTETとSOLOの2公演の予約を取ることが出来て楽しみにしていたのですが、2021年1月7日に東京・神奈川・埼玉・千葉の一都三県に緊急事態宣言が発出されたため、残念ながらSOLOとDUOの公演は延期となってしまいました。

PIANO QUINTET

そして今回最初のプログラムであるPIANO QUINTETに行ってきました。

上原ひろみピアノクインテットステージ

今回は上原ひろみと弦楽四重奏の合体と言う今までにない新しい組み合わせです。5年ほど前に上原ひろみと新日本フィルハーモニー交響楽団は共演したこがありますが、どんなに考えを巡らせても今回はどんな公演になるのか皆目見当がつきません。

弦楽四重奏メンバー

今回一緒に演奏する弦楽四重奏のメンバーは

  • 西江辰郎 / Tatsuo Nishie (1st violin) 新日本フィルハーモニー交響楽団コンサートマスター
  • ビルマン聡平 / Sohei Birmann (2nd violin) 新日本フィルハーモニー交響楽団2ndヴァイオリン首席奏者
  • 東条慧 / Kei Tojo (viola) 2021年よりデンマーク王立管弦楽団の首席ヴィオラ奏者
  • 向井航 / Wataru Mukai (cello) 関西フィルハーモニー管弦楽団特別契約首席チェロ奏者

といった皆さん素晴らしい実力者の方々です。

西江辰朗さんとビルマン聡平さんは新日本フィルハーモニー交響楽団ですから、5年前の共演でのつながりと言うのは簡単に想像がつきます。しかも西江さんとは「題名のない音楽会」で共演していますしね。でもヴィオラの東条慧さんとチェロの向井航さんとはどのようにつながったのか興味があります。特に東条慧さんは普段海外にいらっしゃるようですから尚更気になります。しかし上原ひろみも基本的には海外での活動ですから海外でつながっているのかもしれません。その辺の裏話とかどっかのインタビューで語ってくれないですかね。

それから個人的な話になるのですが、私は弦楽器の中でヴィオラの音が一番好きなのです。どうもヴァイオリンの音は頭に響きすぎてしまうので苦手という訳ではないのですが、ヴィオラの落ち着いた音が大好きです。クラシック音楽も好きで聴きますが(かといって語れるほど詳しくはない)、どうしても聴きながらヴィオラの音を探してしまいます。ですから今回の公演はヴィオラの音を生で聴けるのも楽しみの一つでした。

セットリスト

セットリストというタイトルですが、新曲のタイトルはわかりません。組曲は本人がMCでタイトルを言っていたのですが覚えていません(無責任)。というのも今回の演目のメインはオリジナル曲で、しかも四楽章からなる組曲です。MCで上原ひろみが言っていました。コロナでライブが出来ない状態が続き、その間ライブが出来る日を夢見て曲作りをしていたと。しかも時間がたっぷりあったので四楽章の壮大な組曲になってしまったと。その時にその時の自分の感情などを表した曲だという事でタイトルを言っていたのですが、メモすることも出来ず忘れてしまいましたが、Blue Note Tokyo のサイトに出ましたので転載します。

1. Someday
-MC-
2. “SILVER LINING SUITE” Isolation
3. “SILVER LINING SUITE” The Unknown
4. “SILVER LINING SUITE” Drifters
5. “SILVER LINING SUITE” Fortitude
6. Legend of the Purple Valley
7. 11:49PM
8. Jump Start
-新年プレゼント当選者発表-
EC.Ribera Del Duero

と言った感じです。

新曲の組曲ですがとても良い曲でした。上原ひろみのパートはもちろんジャズな感じでの演奏でしたが、全体としてクラシック的なパートもありましたし上原ひろみの新しい面を見た気がしました。元々将来的には交響曲も書いてみたいと言っていたくらいですし、そういった曲作りの知識がないから曲作りを学ぶためにバークリーに行ったと言っていましたが、あんな曲を書いてしまうのですからただただ驚くばかりです。

上原ひろみはトリオプロジェクトでもベースやドラムがメロディを奏でる事が出来るし、ピアノがリズム隊になることも出来ると言っていますから、今回もそんな感じでそれぞれの楽器のソロパートがありました。また、弦楽器は弓で弾くだけではなくピチカート(弦を指ではじく)も随所に取り入れて音に彩を加えていました。皆さん実力者ですから聴いていて引き込まれてしまいます。弦楽器の演奏を生で聴いたことがありませんでしたから感動に近い感情もありましたし、なんといっても初めて聴くヴィオラの音が最高でした。

そしてチェロの向井さん、この方のプロフィールを見ると関西フィルハーモニー管弦楽団特別契約首席チェロ奏者だけではなくご自身の楽団やロックバンド?などを率いて幅広く活動されているようですが、それは演奏を聴いていてもすぐにわかりました。恐らくジャズなども演奏しているのかもしれませんが、まるでベースのように彼のチェロから繰り出される音のグルーブがすごかったです。聴いてるこちらの体が自然と揺れるようなグルーブが心地よく、そういった曲を演奏し慣れているような感じがしました。特にアンコール曲の演奏は素晴らしかったです。

そして私の大好きな11:49PM。これがPIANO QUINTET用にアレンジされ演奏されたのですが、まさかこの曲がこんなに壮大な曲になるとは思ってもいませんでしたので、自分の一番好きな曲だけに感動してしまいました。この曲はまさにプログレ(プログレッシブロック)的な曲なのですが、ストーリー性があって曲が物語のように進んでいくところはクラシック音楽と通ずるところがあるので、こんな壮大な曲になったのでしょうか。上原ひろみの曲自体プログレ的な曲が多いので、もしかしたらクラシック的な演奏との相性が良いのかもしれませんが、一番は上原ひろみの編曲力が素晴らしいという事だと思います。こんな素敵な壮大な曲にアレンジしてくれてありがとうと言いたいです。

また、アンコールではそれまで正装だった皆さんが、このライブ用のTシャツに着替えて出てきました。そんな格好で弦楽器を弾く姿と言うのも見慣れていないので観客の皆さんは思わず笑顔になっていました。

アンコールの曲はアップテンポのすごい乗れる曲でしたが、途中上原ひろみが伴奏していて弦楽器4人が順番に弾いていくという場面がありました。それを上原ひろみが笑顔で見守っていたのですが、これは明らかに4人に即興演奏をさせていたんでしょうね。弦楽器の方たちは普段演奏している音楽の性質上、即興演奏はありえないわけですが、上原ひろみ=即興演奏ですから彼女と共演すればこればかりは避けて通ることはできません(笑)。でも皆さんテンション高く楽しそうに演奏していて盛り上がりました。

そして上原ひろみらしい右手と左手交互の速弾きにストリングスの皆さんも合わせるユニゾンで最高潮を迎え、最後は向井さんの掛け声が入って演奏が終了しました。その瞬間4人もとても素敵な笑顔で観客はもちろん大きな拍手とスタンディングオベーションでした。こんな時期ですからその程度でしたが、コロナ関係なければ歓声がすごかったでしょうね。私も声を出したいくらいの感情でしたから。

ブルーノート東京2021年1月

弦楽四重奏との競演という事でどんな音楽になるのかとても楽しみにしていましたが、クラシック寄りの組曲があり、Jazz寄りのグルービーな曲があったりで大満足です。今回の公演も最終日の2ndセットがライブストリーミング配信されますが、それとは別に前回のもそうですが、ぜひとも映像として販売していただきたいと思います。

そしてふと思ったのですが、上原ひろみがわざわざ曲を何曲か書き下ろしているわけですから、何かしら形として残すような気がしています。Edmar Castanedaの時と同じようにLIVE CDが出るんじゃないかとひそかに期待しています。

違うジャンルのミュージシャンと共演することで、異種格闘技と言いますか想像を超えた感動がありましたし、皆さん楽しそうで競演と言うよりもセッションを見ているようで、見ているこちらもとても楽しくてあっという間に終わってしまった感じです。ジャンルは違えどプロって凄いんだなと改めて思いました。

他の2公演が延期になってしまったのは大変残念ですが、新型コロナが終息し心からライブを楽しめるときが来ることを祈っています。

そして身体障害者である私には、いつも通りホスピタリティの素晴らしいブルーノート東京でした。毎回書きますが、障害者の私でも全くストレスを感じずに音楽を楽しめるお店です。いつもありがとうございます。

ブルーノート東京は身体障害者も安心して楽しめるジャズクラブ
ブルーノート東京はホスピタリティが素晴らしく、身体障害者のわたしでも安心して行くことが出来ます。食事も公演オリジナルメニューもあっておいしいフランス料理と音楽を同時に楽しめます。

コメント